ヨーロッパや北米の大学への進学を選択肢の一つとして考えるのは、日本人にとってあまり一般的とは言えません。
実態が知られていないからこそ、「海外の大学で学位を取ることは、とてつもなくハードルが高い」というイメージが先行しているように思います。
この記事では、著者である私が体験したスウェーデンの大学での学生生活を紹介しつつ、海外の大学に関してよく言われている、「入学するのは簡単で卒業するのは難しい」というのは、具体的にどういう事なのかを解説します。
スウェーデンの大学の入学者選抜
海外の大学への入学が比較的簡単だと言われるのは、北米やヨーロッパの多くの国では入学試験を課さず、高校の成績を基に入学者選抜を行っていることが理由として挙げられます。
スウェーデンでも、音楽系、芸術系等、一部の学科を除き、ほぼ全ての3ー5年制の学科プログラム及び単科コースの志願者の選抜は、高校で履修した科目の総合成績を基に行われています。
選考の対象となるためには、大学入学資格に加え、各学科及びコースが定めた出願に必要な科目を高校で履修している必要があります。
アメリカの大学の選考システムとは異なり、学部レベルの入学者選抜の際は、課外活動の実績や志望動機等は基本的に問われません。
スウェーデンの大学の単位認定
スウェーデンの多くの大学は、複数の科目を平行して履修するのではなく、一科目を集中して5週間から10週間で完結する履修方法が一般的です。単位認定の基準や学習内容の詳細は、各科目のシラバスに明記されています。
スウェーデンの大学の試験には、主に教室で一斉に受ける筆記試験、自宅で期限内にレポートやエッセイを書き上げる形式の試験、そして口頭試験があります。
基本的に、講義への出席は強制ではありません。講義毎の宿題等もないので、提出物の締め切りや試験日を考慮し、自分で学習計画を立てて勉強することができます。
出席義務のある授業の多くは、セミナーと呼ばれる少人数での議論形式をとっています。たいていの場合、課題図書の内容や、事前に準備したプレゼンテーションを基に議論が行われます。
講義への出席義務がない分、出席点というものはなく、試験の結果を講義への出席率で補うという事はできません。この講義への出席率が単位認定の際に加味されないという点が、海外の大学を卒業するのが難しいと言われる理由の一つでもあるのです。
学生の自立心、主体性が求められる教育システムに戸惑うことも
基本的にスウェーデンの大学は、学生を自立した大人として扱い、学業に自主的、主体的に取り組む事を前提としています。
スウェーデンの大学では、講義への出席よりも、自分で文献を検索する、計画的に文献を読み進める、その内容についての自身の考えを口頭又は文章で表現するということを重視しています。
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