時代の変化の中でイタリア人の食生活も大きく変わりましたが、基本的な食文化、食に関する関心の高さは実は変わっていない、むしろ関心がより高まっているように思えます。基本的な食文化というのは、
- 良質なオリーブオイルや塩、胡椒、ハーブやにんにく等を基本とした、シンプルな調理法
- 旬の新鮮な地元の食材が一番と考えるイタリア人の嗜好
- 種類が豊富な植物性食品を用いたバラエティ豊かな料理
で、今も根強く残って親から子へと引き継がれており、それこそがイタリアの食文化の素晴らしさかなと筆者は思います。
豊かな大地と、イタリア人の食への情熱
また、イタリア人は、手作りを何よりのご馳走と考えています。ラヴィオリ(詰物をした四角いパスタ)一つにしても、週末に家族や親戚が集まる食事となれば、マンマやおばあちゃんが詰め物を用意し、小麦粉を練るところから手作りしたり、あるいはパスタ職人が作る新鮮なものを専門店で買い求めたりするのです。
自分で畑を耕して野菜を作ったり、オリーブの木があれば、実を収穫して、搾油所に持ち込んで自家製オリーブオイルを作る、ブドウの木があればワインを作る、といったことも一般的です。
自分の家で採れた食材を誇りに思い楽しみにする。日本で梅を収穫して、梅干しを作るのと似ていますね。イタリアでは今もそういった習慣が根付いています。
豊富な食材を生み出す豊かな大地に、地中海式ダイエットの伝統を受け継ぐイタリア人の食への関心の高さ、そしてワイン片手に、家族や友人とのんびりと食卓を囲むことを何よりの楽しみとする社会のあり方。
そういった様々な要素が、イタリア人の長寿を支えているのかもしれません。
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