同じヨーロッパでも、イタリアやスペインのように、家族の絆が非常に固いという文化を持つ国もあれば、著者である私が居住しているスウェーデンのように、付かず離れずの適度な距離感を保っての家族間交流が一般的な国もあります。
今回の記事では、そんなスウェーデンで一般的とされる家族の在り方や付き合い方についてお伝えします。
子供の主体性と自立心を育む教育方針
基本的に、スウェーデンの家庭や学校では、大人が子供の言動や行動に過干渉する事を避け、可能な限り子供自身の意思を尊重しています。
その背景には、「大人から押し付けられた理想や価値観を従順に受け入れる」という受け身な姿勢ではなく、「子供が自分で考え、意思決定をし、自己責任で行動をする」という自立心及び主体性を育む事を目的とした教育方針があります。
そのため、十代の子供達は、親と距離を置き、かなり自由に男女交際や友達との週末の夜遊びを楽しんでいます。
とはいえ、スウェーデンの子供達が他国の子供達と比べて甘やかされていたり、親が子供に対して無関心という訳ではないのです。
スウェーデンの多くの家庭では、食事の後片付けや自分の部屋の清掃等、年齢や能力に応じて、自分の身の回りの事は自分でさせるという教育を徹底しています。
愛情表現豊かなスウェーデンの親子関係
スウェーデンの親子関係のもう一つの特徴として、親が子供に対してストレートに愛情表現をするという点が挙げられます。
スウェーデンの親は、「親の子供に対する愛情は言わなくても伝わる」とは考えず、言葉やスキンシップを通して、愛情を直接的に表現する事を怠りません。
こういった愛情表現を通じて、子供は親から愛されているという事を実感し、「自分は愛される価値のある人間なのだ」という自己肯定感を持つ事ができるのだと考えられています。
離婚家庭の多いスウェーデン
北米や他のヨーロッパ諸国と同様、あるいはそれ以上に、スウェーデン人カップルの離婚率は非常に高い傾向にあります。そのため、隔週ごとに、それぞれ新しいパートナーとその子供達と暮らしている父親と母親の元を行き来しているという子供は珍しくありません。
スウェーデンにも、「安易に離婚や再婚を繰り返すのは、子供に対して無責任なのでは?」と考える人は勿論います。
しかし、共同親権が一般的なスウェーデンでは、余程の事情がない限り、元夫婦である父親と母親の両方が、子供達の共同親権者として協力体制を保つ事を余儀なくされます。
これは、「親が」離婚後も子供と交流する権利を守るためではなく、「子供が」離婚前と変わらず両方の親権者の元で養育を受ける権利を守るためです。
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