日本人女性と結婚したヨーロッパ人男性が、育児に奮闘するあまり夫への愛情表現を怠る妻に不満を感じ、離婚を切り出すというケースは少なくありません。

日本人の一般的な価値観から見れば、男性の行動は浅はかに映るかもしれません。しかし、その男性からしてみれば、一緒に暮らしている女性から愛されているという実感がないまま、結婚生活を続けることに意義はないという感覚なのです。

今回の記事では、著者が居住しているスウェーデンとその他のヨーロッパ諸国で一般的に広く受け入れられている、夫婦の在り方に関する価値観についてお伝えします。

男と女であり続けることを望むスウェーデン人夫婦

多くのスウェーデン人夫婦は、長い年月の経過や出産、育児というライフステージを迎えても、兄妹や子供のお父さんとお母さんという家族の関係になるのではなく、お互いが男女としての強い愛情で結ばれた関係であり続けることを望みます。

そのため、多くの夫婦は、育児中であっても子供を実家やベビーシッター等に預け、夫婦としてより多くの時間を共に過ごす、子供や家庭関係以外の話題についての会話を楽しむということを実践しています。

夫婦の性生活を軽視しないスウェーデン人夫婦

「忙しい日常の中で、そこまでして夫婦生活を持つ必要はない」「寝室が別でも夫婦生活の実態がなくても円満だと自覚している夫婦はいる」というように、日本ではどうしてもセックスレスや性の不一致等、夫婦間の性の問題が軽視されてしまう風潮があります。

対して、スウェーデンや他のヨーロッパ諸国の夫婦は、余程の事情がない限り毎晩同じベッドで眠り、スキンシップを取ることでお互いへの愛情を表現し合います。これは、育児中の夫婦や高齢の夫婦に関しても同様です。

セックスレスを含めた夫婦の性に関する問題を、「仕方ないこと」「夫婦として他にもっと大事なことがある」と切り捨ててしまうのではなく、夫婦で真剣に話し合い、両者にとって満足度の高い性生活を実現するために解決策を模索するということは、夫婦が円満であるための前提条件として考えられています。

ティーンエイジャーから考え始める性と愛

多くのスウェーデン人夫婦が性について主体的に考え、話し合うことのできる背景には、スウェーデンならではの性教育があります。

スウェーデンでは、各個人が自分の心と体について十分な知識を得た上で、独立して心身の健康や性に関する意思決定や行動選択をする権利と責任があるという考え方が主流です。

そのため、現地の学校教育では、十代の子供達を対象にかなり詳細な性教育が行われています。

性教育の内容は、生殖機能や性病、不本意妊娠のリスク等の表面的な知識の伝授にとどまらず、セクシャルマイノリティをはじめとした性の多様性やパートナーシップの在り方等、性の持つ様々な役割や側面についての議論もされます。

子どものために愛情のない結婚生活を続ける意義はないという認識

スウェーデンでは、「セックスレスでも会話がゼロでも、法律上結婚していている以上、夫婦が夫婦であることには変わりない」「愛情がなくなったから離婚なんてあまりにも無責任」という言い分は理解されません。

法律上婚姻関係にあっても、結婚生活の前提であるはずの愛情が伴っておらず、両者がお互いを想い合い共に生活することを楽しんでいるという実態がない以上、結婚生活は破綻しているも同然なのだという認識です。

ABOUTこの記事をかいた人

近藤万祐子

神奈川県横浜市出身の30代の日本人女性です。2012年に、スウェーデン人男性と結婚し、スウェーデン南部へ移住しました。現在は、現地の大学で心理学と教育学を勉強しています。また、学業の傍ら、スウェーデン在住ライターとして、海外生活、留学、異文化理解、ヨーロッパと日本の教育などに関する記事を投稿しています。