配属先を特定せずに新卒者を大量採用することが一般的な日本の就職事情とは異なり、スウェーデンでの就職活動においては、希望職種に関連する学歴と社会経験を持ち合わせていることが重視されます。

したがって、スウェーデンで就職をするためには、自分の興味や関心、適性、そして労働市場の需要を考慮した上で希望職種を決定し、高校や専門学校、大学等へ進学し専門教育を受けることが不可欠です。

この記事では、そんなスウェーデン社会で需要が高く、将来性のある職業と、それらの職業に就くために必要な教育についてお伝えしていきます。

スウェーデンの高校の職業訓練コース

スウェーデンの高校には、いわゆる普通科という学科はありません。そのため、スウェーデンの中学生は、高校へ入学する時点で、大学進学準備を目的とする社会科学コース、自然科学コース、人文科学コース、あるいは各種職業コースのいずれかを選択します。

スウェーデンの高校教育制度について最も特筆するべき点は、経理や経営について学べる商業コース、調理師養成コース、介護士や看護助手を養成する看護コース、保育助手を養成する保育コース等、現地社会で需要の高い職業に就くために必要な知識や技能の習得を目的とした職業訓練コースが非常に充実しているということです。

この他にも、スウェーデンの高校の職業訓練コースでは、自動車や各種機械の整備、電気工事、溶接、配管工事等の技術を学ぶことができます。

これらの職業系高校に在籍する生徒達は、極端な教養の偏りを避けるため、専門科目と並行して、大学進学準備コースと共通の科目も一部履修することになっています。

また、大学入学資格を取得するために必要な上級のスウェーデン語や英語、数学等のコースを受講することもできます。

医療、福祉系の専門職

スウェーデンでも、医師、歯科医師、看護師、作業療法士、理学療法士、臨床検査技師、歯科衛生士等、国家資格を要する医療系の専門職の需要は非常に高くなっています。特に、医師、看護師、臨床検査技師の不足は深刻です。

この他、聴覚の検査や補聴器の処方等を専門とするaudionom(アウディオノーム)、視力検査及び眼鏡やコンタクトレンズの処方を行うoptiker(オプティケル)等、日本には現在のところ存在しない医療系専門職があります。

福祉関係の職場では、介護士の他にも、人々の社会生活を支援することを目的とし、教育や医療の現場、福祉施設、役所等で活躍するソーシャルワーカーの需要も増えています。

日本では、医師、薬剤師、歯科医師以外の医療系専門職に就く場合、専門学校あるいは大学のいずれかへの進学を選択することができますが、スウェーデンでは、上記の職業の養成は大学のみで行われています。

医師になるためには、5年半の大学教育及び1年半~2年間の研修期間、薬剤師及び歯科医師になるためには5年間、その他の医療系専門職に就くためには、3年間の大学教育を受ける必要があります。

教育系の専門職

教育現場も、医療現場と並んで女性職員の比率の高い職場となっています。昨今のスウェーデンでは、保育園や幼稚園のみならず、小学校、中学校や高校の各教科の教員の深刻な不足が続いています。

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神奈川県横浜市出身の30代の日本人女性です。2012年に、スウェーデン人男性と結婚し、スウェーデン南部へ移住しました。現在は、現地の大学で心理学と教育学を勉強しています。また、学業の傍ら、スウェーデン在住ライターとして、海外生活、留学、異文化理解、ヨーロッパと日本の教育などに関する記事を投稿しています。