万年筆とは万年筆は、その名の通りインクを継ぎ足しながら長年使い続けられる頑丈な筆記具です。そのメリットは数多く、例えば、力を入れずに文字を書ける事が挙げられます。

趣味や仕事、学業等で長文を書く方は特に、腕の疲れを気にせず書き続けられるでしょう。また、コストの安さも注目すべきメリットと言えます。

インクは意外と安価で質が高く、本体の買い替えも必要ないので、筆記のコストを削減しやすくなるものです。その他にも、ペンやペン先が手に馴染んでいくので、使えば使うほど書き心地が良くなるというメリットもあります。

一見、敷居が高そうですが、入門用のリーズナブルなモデルもあります。近年は初心者や子供向けに開発された使いやすい物もありますので、プレゼントの1つとしても人気が高まっているものです。

万年筆を始める初心者の基本

万年筆の初心者がまず覚えておくべき事は、「独特の使用法をする筆記具である」という点です。例えば、毎日使用するのは基本中の基本になります。

使用を怠るとペン先のインクが詰まって文字が書けなくなるからです。また、筆記には独特の技術が必要で、筆圧をできるだけ弱めて滑らせるように書く必要があります。

あまり筆圧を強くすると上手く書けません。初心者の内は、こうした基本的な扱い方を学ぶだけでも手一杯でしょう。しかし、万年筆の独自性は、同時に他のペンには無い長所を持たせる為に必要なものです。

基本の内に難しいものはなく、少しの気遣いだけで済みます。いずれも、使い込む間に自然とやるようになる事ばかりです。初心者の間に身に付けた事を続ければ、万年筆は文字通り長く心地良く使い続けられるでしょう。

万年筆の初心者が始める前に必要な基礎知識

万年筆の初心者が学ぶべき基礎は、万年筆とインクの取り扱いです。万年筆自体は頑丈ですが、取り扱いを間違うとすぐに故障するデリケートな一面もありますので、注意が必要です。

初心者の時に行いがちなのが、調子が悪いと思った時に分解してしまう事です。意外と精巧な作りと複雑な組み立てで仕上がっていますから、安易に分解すると状況が悪化しかねません。

分解は決して行わないようにしましょう。また、インクは化学製品ですので、取り扱いには細心の注意が必要です。インクの取り替え時は周囲に飛び散らないように気を付け、飛び散りに備えて新聞紙等で壁や床を保護します。

万年筆内のインクが固まらない様に、使わない時は短時間でもキャップをして乾燥を防ぎ、長期間使わないならインクは抜いておきます。

万年筆を始める際に必要なもの

万年筆の初心者

万年筆を始めるにあたり、これだけは必要という物がインクです。インク選びの方法は人により様々にありますが、初心者の内は「自分が選んだ万年筆メーカーが製造しているインクを使う」という方針で選ぶと良いでしょう。

インクの成分は各メーカーによって異なっていて、それぞれのメーカーが製造する万年筆に最適化されているものです。インクの選択を誤ると故障や破損に繋がる事もありますので、注意しなければいけません。

この他に必要なのがインクの滲みにくい紙です。例えば、万年筆でノートを取りたい場合、一般的なノート等に万年筆で文字を書くとインクが滲んでしまいます。ノートはインクが滲みにくいいフールス紙でできたノートを選びましょう。

フールス紙でできたリーズナブルでインクが滲みにくいノートは、ツバメノート等がおすすめです。

万年筆の初心者が簡単に始める方法・手順

万年筆の初心者は、まず選び方から覚えると良いでしょう。まず、価格帯として1万円以内に収まる初心者向けモデルから始めるのが無難です。1000円から2000円程度のモデルも初心者用に十分な仕様ですので、予算の範囲内で好きな物を選んで構いません。

ただし、インクの補充方式に気を付けましょう。補充方式はカートリッジ式とコンバーター式の2種類がありますが、前者はインクの入った容器を中に入れる方法で、後者はインクを吸引させて補充する方法です。

カートリッジ式は簡便ですが、インクの価格が高く選べる種類も少ない欠点があります。コンバーター式と両方使える物を選べば、万年筆の扱い方を学びつつリーズナブルに使えるでしょう。なお、コンバーターは別売りの場合がありますので、購入時に確認が必要です。

万年筆の初心者が上達するためのコツ

万年筆を使って上手く文字を書けるようになるには、書く時の姿勢とペンの持ち方が大切です。姿勢を良くすると体に余計な力が入らずに済みます。リラックスした状態でペンを握れば、自然とペンのブレも少なくなりますので、綺麗な字を書きやすくなるものです。

ペンの持ち方は基本的な握り方を意識して行うと良いでしょう。最初から自己流の握り方をすると、上手く書きにくい癖がつく事もあります。

使い始めの内は今までと勝手が違う為に違和感や使いにくさを感じますが、すぐに慣れて綺麗な字を書けるようになるでしょう。万年筆はペン先を紙へ押し付けなくてもかけるので、力を入れずに紙面を滑らせるように書く事を意識するとスムーズに筆記ができます。

ある程度慣れて基本が身についたら、持ち方やキャップの有無等を調整します。 万年筆に初めて挑戦する人へのアドバイス

万年筆を使って初めて文字を書くという人は

  • 文字の止め
  • 文字の跳ね
  • 文字の払い

といった習字の作法を思い出して意識して挑戦すると良いでしょう。万年筆は書く人の技術がそのまま表れやすく、筆圧のかけ具合で文字の太さが違ってきます。

インクは濃淡がつきやすいので、上手く書く技術を身に付けるほど綺麗な文字を書けるものです。この為、ペンで綺麗な文字を書く練習をするのにうってつけの筆記具でもあります。

1つの万年筆で身に付けた筆記技術は、別の万年筆を手に入れた時にも役立つものです。筆記技術の上達はそのまま文字に現れ、腕の疲れやすさにも繋がります。

これは、綺麗な文字を長く書き続けられるのと同じです。初心者の内に基本を身に付ければ、どの万年筆を使っても上手に文字を書けるようになるでしょう。

万年筆の初心者のまとめ

初心者は自分に合った万年筆と道具とを選び、その特徴を把握して、基本となる筆記技術を身に付けていくべきです。最初は使いにくいと思えても、慣れていく内に良さが分かり、そのメリットを生かす為の技術が身についていきます。

止め、跳ね、払いといった筆記技術や、筆圧による濃淡は筆記者の個性がよく見えるポイントですから、練習すればするほど自分なりの字体が確立されて面白くなっていくでしょう。

万年筆は使用していくコストも安いので、実用的な意味でも利用価値が高いものです。趣味として物書きをする上でも、ビジネスで利用する上でも、メリットの多い筆記具と言えます。

メリットを生かす為に少し練習や手間は必要ですが、努力をする価値は十分にあると言えるでしょう。

万年筆の歴史

万年筆の歴史は18世紀まで遡ります。そのルーツとなったのは、1780年にイギリスの金具師であるサミュエル・ハリソンが作った鋼鉄ペンでした。

現在の姿に完成されたのは1884年で、アメリカのルイス・エドモン・ウォーターマンが毛細管現象を利用したペン芯を開発した事で達成されました。

万年筆が誕生してから今の形になるまで1世紀以上の期間がかかっていますが、その間には様々な技術的改良が繰り返されてきた歴史もあります。

例えば、ウォーターマンが新しいペン芯を開発したのは、保険外交員時代の苦い思い出がきっかけです。万年筆からインクが漏れて契約書が汚れてしまった為に大口の契約に失敗してしまった事から、インクの漏れない仕組みで作ろうとして、毛細管現象を使う技術にたどり着いたのでした。

初心者におすすめの万年筆

初心者が使いやすいおすすめの万年筆としては、入門用のモデルから選ぶと良いでしょう。万年筆は太さも長さも重さも、モデル毎に異なります。

自分に合った物を選ぶには、万年筆を置いてあるお店で相談をすると良いでしょう。実店舗での購入は試し書きが出来る事や、店員の方からアドバイスを受けられる良さがあります。

初心者の内は見落としがちなポイントも多いので、客観的な選択がしやすい方法としておすすめできます。ペン先の太さは国産であれば「F」を、海外製であれば「EF」を選ぶと、違和感が無く使えるのでおすすめです。

ペン先の素材は、入門用のモデルのほとんどはステンレス製の物になります。これも物によって硬さや書き心地が異なりますので、実際に試し書きをしてみるのがおすすめです。