このように、両親の離婚のために子供が片方の両親を失う必然性がないのと同様に、親もまた、離婚したからと言って元パートナーと絶縁できる訳ではないのです。
高校卒業後に親元から独立するスウェーデンの若者達
自立心や独立心を育む教育を受けてきたスウェーデン人の若者達にとって、成人したら親元から独立するというのは、ごく自然な選択と言えます。
留学やワーキングホリデー等から帰国して一時的に実家で暮らすという事はありますが、そういった特別な事情がある場合を除き、「寂しいから」「一人暮らしは不経済だから」という理由で独立を思い止まる人は少数派です。
しかし近年、住宅の数が不足しているため、若者が高校卒業と同時に学生アパートやその他の賃貸物件に移り住むことが難しくなっています。そのため、アパートに空きが出るまで、不本意ながらも親元に残る人もいます。
独立後の適度な距離感での家族間交流
多くのスウェーデン人は、実家から独立後も、家族の誕生日やクリスマス等の年間行事の度に家族で集まり交流を楽しんでいます。
両親と兄弟の誕生日に年に数回のみ集まるという家庭もあれば、より幅広い親族と交流を持ち、月に複数回も集まるという家庭もあります。
ちなみに、正式に結婚していない恋人や同棲相手も、家族の一員としてパートナーの家族行事に参加する事が期待されています。
実家依存や嫁姑間の確執等の問題が少ないスウェーデンから学べること
成人してからの家族間交流を大切にするスウェーデン人は多いものの、結婚後も連日実家に入り浸るという実家依存、親子の共依存関係、義理両親による詮索や干渉、嫁いびり等の問題は、日本と比べて非常に少ないと言っていいでしょう。
私自身、スウェーデン人の夫の両親から、私達夫婦の生活について詮索や干渉をされた事はありません。近所に住んでいた時期にも、必ず事前連絡をした上で私達の自宅を訪問してくれていました。
完璧な家族や教育は、日本にもスウェーデンにも存在しません。それでも、「身内同士ならば何をしても許される」という甘えや依存ではなく、親子共に精神的に自立し、「お互いを独立した個人として尊重する」という前提を保った親子関係を築く事で、大人になってからの家族間の交流がより楽しいものになるのだと実感しています。
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